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【考察】ハラルド王の行動、どう見ても“悪手”だろ──理想と現実のズレを読み解く【ワンピース】
エルバフ王・ハラルド。
彼の掲げる「巨人族の未来」を思う気持ち、そして“平和国家エルバフ”という理想は美しい。
実際、最新話(1167〜)でも、エルバフが世界に認められる国になるため、彼なりの覚悟を持って動いてきたことが描かれている。
しかし――
世界政府への全面的な従属だけは、どう考えても悪手だったのでは?
という疑問が強く残る。
この矛盾を、本記事で深掘りしていく。
■ ハラルドの理念は正しい:“エルバフを平和な国に”という理想
まず前提として、ハラルドが目指していた方向性そのものは評価されるべきだ。
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エルバフが「戦争大国」のイメージから脱却する
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世界に認められる成熟した国家になる
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子どもたちの未来のために、1000年前の罪を償いたい
巨人族の歴史を正すための“改革”を進める姿勢は、王として極めて誠実。
また、ロックスから誘われても大ぴらに協力しない姿勢も正しい。力に屈して巨人族を再び破滅に導くような判断は避けたかったのだろう。
ここまでは完全に理解できる。むしろ正しい。
問題は、その次だ。
■ しかし…世界政府に全面的に従う? それは危険すぎる選択だった
最新話の描写を踏まえると、ハラルドはエルバフを安定させるために、
世界政府の管理下に入る=全面的に従う姿勢
を最終的に選んだように見える。
だがこれは、エルバフという国の特性を考えると、どう見ても理想と矛盾している。
● ① 加盟は“平和”ではなく“服従”になる
世界政府は加盟国に天上金を課し、政治の独立性を奪い、場合によっては国を支配下に置く。
その構造は歴史上何度も描かれている。
エルバフがこの枠に入れば、
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巨人族の独立性は消える
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文化・戦士としての誇りも制限される
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天竜人の意向で国の自由が左右される
つまり、理想とかけ離れた現実に直面する可能性が高い。
● ② 1000年前の“巨人族の罪”を理由に永遠に利用されかねない
ハラルドは「償い」を強調していたが、
“償いの名のもとに永遠に支配される危険”がある。
巨人族の古い歴史は世界政府にとって利用価値が高く、
「巨人という戦力」を手中に収めるために、許しの名前で服従を強いる――
そういう流れは十分起こり得る。
● ③ 巨人族は“戦力としての需要”が高すぎる
世界政府にとって巨人族は巨大な軍事資源。
実際、海軍には「巨人中将」がいるように、人材としての価値が高い。
そのため加盟は、
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“平和の対価”と見せかけた戦力提供の義務
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巨人族の徴兵
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エルバフの軍事利用
につながりかねない。
● ④ ロキ王子の反発の理由もこれ
ロキが激しく反対していた理由は明白だ。
エルバフの誇りを守る
巨人族の自由を守る
世界政府に飲み込まれないための防衛
ロキの考えこそ、実は現実的で理にかなっている。
■ ハラルドの“最大の誤算”とは何か?
結論から言うと、
「世界政府=平和」ではないという現実を見誤った
これに尽きる。
ハラルドは善意で動いている。
だが、世界政府は“善意の組織”ではない。
むしろ、
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歴史の改竄
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迫害
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差別構造
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非加盟国への武力介入
など、物語の根幹となる悪政を行ってきた側だ。
「平和のために従う」という考えは、結果として
“本当の平和”を遠ざけてしまうリスクが高い。
エルバフの未来は、外から与えられる平和ではなく、
自分たちで勝ち取るべき平和
だったのではないだろうか。
■ 結論:ハラルドの理想は正しいが、“手段”が完全に間違っていた
まとめると――
✔ ハラルドの理想・善意は尊い
✔ ロックスに協力しない判断も正しい
❌ だが世界政府への全面従属は悪手
エルバフが本当に世界に受け入れられる国になるためには、
世界政府の傘下に入るのではなく、
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巨人族自身が過去を乗り越え
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独自の文化と誇りを保ち
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世界と対等な立場で関係を築く
この道こそが最適解だったはずだ。
ハラルドの「優しさ」が、結果としてエルバフの自由を奪う未来を呼び込むのでは――?
そんな不安を残したまま、物語はこれからどう転がるのか。
今後のエルバフ編で、彼の選択がどのような影響を与えるのか、要注目だ。


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