『ワンピース』ワノ国編を章ごとに解説【ネタバレ注意】

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『ONE PIECE』ワノ国編を章ごとに解説【ネタバレ注意】

和服姿の麦わらの一味。ワノ国編では和の国らしい侍や忍者の世界観が舞台となる。

『ONE PIECE』ワノ国編は、四皇カイドウの圧政に苦しむ「侍の国」ワノ国を舞台に、ルフィ率いる麦わらの一味とその同盟がカイドウ討伐に挑む物語です。ワノ国編は物語上初めて「幕」で区切られた三幕構成が採用され、歌舞伎のような独特の演出がされています 。本記事では、第1幕から第3幕まで章(幕)ごとの主要な展開を初心者にも分かりやすくまとめます。新キャラクターや侍たちの紹介、物語のクライマックス、そして筆者の感想も交えて、長大なワノ国編をざっくり振り返ってみましょう(結末までネタバレを含みます)。

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主な登場キャラクター紹介

  • モンキー・D・ルフィ – 麦わらの一味船長。カイドウ打倒を目指す本編主人公。ワノ国で侍達と同盟を組み、最終決戦では新たな力「ギア5」を覚醒させます。
  • ロロノア・ゾロ – 麦わらの一味戦闘員。ワノ国では侍のような浪人姿で活躍。伝説の刀「閻魔」を受け継ぎ、カイドウ軍幹部を討ち取ります。
  • 錦えもん – ワノ国の侍で赤鞘九人男のリーダー格。光月おでんの元家臣で、未来から来たルフィ達の同盟者。討ち入り計画の指揮を執ります。
  • 光月モモの助 – 先代将軍おでんの息子。カイドウ達に虐げられたワノ国の真の跡継ぎ。最後は成長して新将軍に就任しました。
  • 光月おでん – 20年前のワノ国の大名(白舞の大名)で伝説の侍。ロジャーや白ひげとも航海した豪傑でしたが、オロチとカイドウに処刑されました。物語中盤でその壮絶な過去が描かれます。
  • カイドウ – 百獣海賊団総督で“四皇”の一人。龍に変身する怪物で、ワノ国を武力支配しています。本編の最終ボスとしてルフィと激突します。
  • ビッグ・マム(シャーロット・リンリン) – 四皇の一人でホールケーキアイランド編から引き続き登場。ワノ国で一時的に記憶喪失になりますが、後にカイドウと手を組み同盟を結成します。
  • 黒炭オロチ – ワノ国将軍。カイドウを背後盾に圧政を敷く卑劣な権力者。八岐大蛇の能力者で、最終盤に報いを受けます。
  • ヤマト – カイドウの実子。自称「光月おでん」で、父カイドウに反発しルフィ側に協力します。強力な味方として共闘します。
  • トラファルガー・ロー&ユースタス・キッド – 最悪の世代の海賊でルフィの同盟・ライバル。ローはハートの海賊団船長として協力し、キッドも共闘して四皇討伐に参戦します。
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第1幕:侍の国に上陸!ワノ国の現状とカイドウの脅威

ホールケーキアイランドから逃れたルフィ達は、当初の目的どおり百獣のカイドウを倒すため、鎖国国家ワノ国へ船を進めます。激しい海流と嵐を乗り越えて入国したルフィは、船から投げ出されて仲間とはぐれ、単身「九里ヶ浜」に打ち上げられました。そこでルフィが出会ったのは、謎の武装集団に襲われていた少女お玉。ルフィはお玉を助け、礼として彼女の家で手料理をご馳走になります。しかし、そのわずかな食事さえお玉には貴重でした。彼女の暮らす編笠村はカイドウの工場排水で汚染され、食糧が極度に不足していたのです。ルフィはカイドウの支配下で人々が飢えに苦しむワノ国の惨状を目の当たりにし、「お前が毎日腹いっぱいメシを食える国にしてやる!!!」とお玉に約束します。

その頃、先行して潜入していたゾロ、錦えもん達は花の都で情報収集をしていました。ゾロは濡れ衣で切腹させられそうになりますが、見事な居合いで役人を斬り伏せて逃走。一方ルフィはお玉を連れ、偶然再会したゾロや侍のお菊と合流し、お玉を誘拐した真打ちホールデムの本拠地に乗り込みます。ルフィとゾロはホールデムを一撃で撃破し、お玉を救出。さらに彼らは奪った食料を“おこぼれ町”に運んで住民たちに振る舞い、飢えた人々を喜ばせました。ルフィの痛快な活躍により、圧政に苦しむ民衆に一筋の希望がもたらされます。

やがてルフィ達はワノ国に潜伏していたローや錦えもんらと合流し、おでん城跡へ集結します。そこで錦えもんから語られたのは驚くべき真実――彼ら赤鞘の侍たちは20年前のワノ国から未来にタイムスリップしてきたというのです。当時、将軍の光月おでんがカイドウとオロチによって処刑され、ワノ国は乗っ取られました。おでんの妻・トキの“時間跳躍”の能力で、錦えもん達は未来へ送り出され、おでんの遺志「ワノ国を開国せよ」を託されたのです。ルフィ達はおでんの壮絶な最期と侍達の想いを知り、カイドウ討伐への決意を新たにします。こうして忍者・海賊・ミンク・侍同盟が結成され、2週間後の火祭りの夜に鬼ヶ島で討ち入り(奇襲作戦)を決行する計画が立てられました。同盟軍の戦力は麦わらの一味、ハートの海賊団、ミンク族、そして光月家に味方する侍達です。錦えもんは秘密の合図を反乱の同志に配り、皆が**「海老港」**に集合できるよう準備を進めました。

しかし、計画の矢先に最強の敵が動き出します。百獣海賊団総督カイドウが巨大な龍の姿で九里に現れ、酒に酔いながら暴れ始めたのです。居合わせたジャックやホーキンスですら恐れる圧倒的存在感の中、カイドウは「ルフィとローがいる」と唆されたおでん城跡に向かい、熱息(ボロブレス)で跡地を吹き飛ばしました。仲間たちの安否を心配したルフィは激怒し、単身カイドウに立ち向かいます。渾身のゴムゴムの攻撃を叩き込んで龍を地面に叩き落とすものの、酔いから覚めたカイドウは無傷で立ち上がりました。直後、“雷鳴八卦”の一撃によってルフィは意識を刈り取られてしまいます。格の違いを見せつけられたルフィはその場で敗北し、捕らえられてしまいました。こうして物語は衝撃的な幕引きと共に第1幕を終えます。

第2幕:反撃の準備と波乱のワノ国

カイドウに敗れたルフィは、“見せしめ”として囚人採石場のある兎丼(うどん)の監獄に送られました。そこには同じく捕まっていたキッドも収監されており、二人は競い合いながら過酷な労働に耐えます。ルフィは囚人達に食糧を分け与えたり、看守長を殴り倒したりと反骨精神を示し、囚人達のヒーロー的存在となりました。さらに伝説のヤクザ親分ヒョウ五郎との出会いを通じて、ルフィは強敵カイドウに対抗するための“流桜(りゅうおう)”と呼ばれる上級武装色の覇気の修行も積んでいきます。ルフィの影響で兎丼の囚人たちは戦意を取り戻し、後の戦力として心強い仲間となっていきました。

一方その頃、華やかな花の都でも波乱が起きていました。ワノ国一の花魁小紫が将軍オロチの宴席に呼ばれ、都は大賑わいとなります。だが宴の席上、光月家への恐怖に取り憑かれたオロチが激昂し、笑い上戸の少女トコに八つ当たりします。それを見かねた小紫はオロチに平手打ちを見舞い、「無礼者」として斬られそうになります。そこで突如、オロチの側近侍である狂死郎が小紫を斬り伏せました。小紫はその場で息絶えたように見え、都は騒然となります。しかし実は、狂死郎の行動は彼女を救うための芝居でした。小紫の正体はなんとモモの助の妹光月日和であり、狂死郎こと赤鞘の一人傳ジローによって密かに保護されていたのです。日和は死を偽装することでオロチの追及を逃れ、後にゾロ達に接触して協力することになります。

そんな折、都ではもう一つの衝撃的事件が起きます。かつて「大笑いのトの康」として親しまれた町民の男**康イエ(康家)**が、実は光月家に仕えた元大名・霜月康イエだったことが判明しました。康イエは反乱軍の同志を匿い支援していたのですが、オロチに捕らえられ処刑されてしまいます。処刑直前、康イエは大胆にもオロチを面罵し、民衆に笑いながら最期を迎えるよう促しました。その振る舞いにより光月の家紋入りの判じ絵(討ち入りの暗号)が敵に露見した件を「自分の悪ふざけだった」と偽り、計画漏洩の責任を一手に引き受けます。康イエの犠牲によって同盟の計画は守られ、侍達の士気はますます高まりました。

こうした混乱の中、ビッグ・マムもワノ国で暗躍します。ホールケーキアイランドから追ってきた彼女は記憶喪失となり、チョッパー達に保護されていましたが、成り行きで兎丼の監獄に乱入しました。ビッグ・マムは看守長クイーンと激突し、その力で監獄の体制を崩壊させます。結果としてルフィ達は囚人たちを解放し、兎丼を支配下に収めることに成功しました。その後ビッグ・マムは記憶を取り戻し、鬼ヶ島へ移送されます。鬼ヶ島でカイドウと再会した彼女は激しい小競り合いの末に手打ちとなり、なんとカイドウとビッグ・マムの海賊同盟が結成されてしまいました。二人の四皇が手を組むという最悪の事態に、世界は大きく動揺します。

やがて決戦の火祭り当日が迫り、同盟軍の準備も最終段階に入りました。ルフィはヒョウ五郎との修行で覇気をさらに極め、ゾロは日和から父おでんの形見である名刀「閻魔」を譲り受けます。傳ジロー(狂死郎)も正体を明かし、裏で同志を集めてくれていました。ローは捕まっていた仲間を救出し、囚われの侍河松も解放されて赤鞘の戦力が揃います。反乱軍は刀や船も確保し、最終決戦に向けて士気は万全です。ただ一つ不安要素があるとすれば、「内通者」の存在でした。赤鞘の一人にスパイがいるらしいという情報が囁かれつつも、その正体は依然不明のまま…。こうして様々な試練と準備期間を経て、第2幕は次なる舞台、鬼ヶ島の決戦へと物語を繋ぎます。

第3幕:鬼ヶ島決戦!四皇VS新世代の頂上戦争

いよいよ決戦の夜、ルフィ達同盟軍は約束の集合場所へ向かいます。しかし花火が上がる火祭りの夜、定時に現れたのは錦えもん達赤鞘の侍たちだけでした。肝心の援軍であるはずのルフィ達やヤクザの大親分衆、さらには用意したはずの船や武器も見当たりません。実は、ワノ国将軍オロチ側に内通していた侍こそ、赤鞘の一人カン十郎だったのです。カン十郎の裏切りで計画は筒抜けになっており、オロチは討ち入り阻止のため同盟軍の橋や船を事前に破壊していたのでした。絶体絶命の侍達にカン十郎は嘲笑いながら襲いかかり、モモの助をさらって鬼ヶ島へ飛び去ってしまいます。

しかし、ルフィ達も黙ってはいませんでした。実は港を間違えた偶然も手伝い、被害を免れたルフィ・ロー・キッドの海賊連合が極秘裏に艦隊を揃えて参上したのです。三船長の奇襲攻撃によりカン十郎の追っ手は蹴散らされ、錦えもん達は九死に一生を得ました。さらにその場に、大海原から頼もしい助っ人が駆け付けます。タイヨウの海賊団元船長ジンベエが約束を果たし、麦わらの一味に正式加入して合流したのです。かくして総勢約5,400名の侍海賊連合軍が出揃い、一丸となって鬼ヶ島への上陸作戦を開始しました。第3幕はここから、ワノ国編最大の見せ場である鬼ヶ島決戦の火ぶたが切って落とされます。

鬼ヶ島ではカイドウとオロチが盛大な宴を繰り広げ、部下達も油断しきっていました。ルフィたちは船で鬼ヶ島に上陸すると、少人数ずつチームに分かれて島内へ潜入します。錦えもんの能力で変装した侍達は敵陣深くに紛れ込み、ドクロドーム城の裏口へ。ローの作戦で赤鞘の侍達はカイドウのいる屋上へと一気にワープし、因縁の仇に奇襲を仕掛けます。不意を突かれたカイドウは一時怯み、赤鞘九人男は亡きおでん直伝の技で次々と斬りつけ善戦しました。一方、正面から乗り込んだルフィ達麦わらの一味も大暴れです。道中では、途中参戦したヤマトがモモの助を守り抜きつつルフィと合流しました。ヤマトはカイドウの実の子ながら父を激しく嫌悪し、光月おでんに憧れるあまり自称「おでん」を名乗る変わり者です。彼女も麦わらの一味側に立って共に戦う決意を固め、ルフィと肩を並べて戦場に参戦しました。

城内の各所で戦闘が勃発する中、ルフィは遂にカイドウの待つ屋上へ辿り着きます。そこには同じく鬼ヶ島に乗り込んだ最悪の世代、“キラー”ことキッド海賊団副船長のキラーも加わり、ルフィ・ゾロ・ロー・キッド・キラー VS カイドウ・ビッグマムという前代未聞の乱戦が幕を開けました。二人の四皇に立ち向かう五人の海賊たちは「新世代」らしく奇想天外な連携攻撃を繰り出し、一時はビッグマムを鬼ヶ島から叩き落とすことに成功します。しかし、カイドウとの戦いは凄まじく、ルフィは渾身の力を振り絞ってもなおカイドウに圧倒され、ついに力尽きてしまいました。ルフィの敗北を見た仲間達には絶望がよぎりますが、戦いはここからクライマックスを迎えます。死闘の只中でルフィの心臓が不思議な鼓動を刻み始め、彼の中の“悪魔の実”が覚醒。伝説の太陽の神ニカの力を宿したとされる**「ギア5」**へと到達したのです。全身が白く変貌し、自在すぎるほど自由な戦闘スタイルを得たルフィは笑い声を響かせながら復活し、再びカイドウに立ち向かいました。その姿はまさにマンガじみた奔放さで、巨大化した拳で龍を地面に叩きつけるなど、常識外れの大技でカイドウを翻弄していきます。

一方その頃、屋内では他の仲間たちも死力を尽くして奮闘していました。ゾロは百獣海賊団幹部の最強の一角キングを撃破し、サンジも恐竜系能力者クイーンを蹴り倒します。ジンベエ、フランキー、ロビン、ブルック、ナミ、ウソップ達も各所で**飛び六胞(とびろっぽう)**と呼ばれる強敵たちを次々と打ち破り、麦わらの一味の真価を見せました。ミンク族のイヌアラシとネコマムシもスーロン化して因縁のジャックやペロスペローを討ち取ります。侍勢も奮闘し、裏切り者カン十郎の繰り出した火焔妖怪(かえんようかい)を阻止し、憎きオロチも遂に討ち取りました。ローとキッドの海賊同盟もビッグ・マムに最後の攻撃を叩き込み、四皇の一角を崩すことに成功します。こうして戦場の敵幹部たちはほぼ壊滅し、残す大物はカイドウただ一人となりました。

鬼ヶ島の空中では、ルフィとカイドウの一騎打ちが最終局面を迎えていました。覚醒したルフィは「このまま全面戦争を終わらせに来た」と高らかに宣言し、カイドウもそれを受けて最後の力を振り絞ります。激闘の末、ルフィの巨大な拳が炎を帯びた龍と化したカイドウを地中深く叩き落としました。遂にカイドウは力尽き、彼の野望であった「鬼ヶ島計画」も完全に潰えます。時を同じくしてカイドウとビッグ・マムの敗北により発生した大爆発が地下の溶岩帯で起こり、二人の四皇はそのまま地中深く沈んでいきました。こうしてルフィ達の勝利とともに、長きにわたる戦いは終わりを告げたのです。

決戦後、鬼ヶ島が墜落寸前でしたが、モモの助が龍の力でどうにか花の都付近への落下を防ぎました。夜明けと共に編笠村にて勝利の狼煙が上がり、ワノ国には久方ぶりの青空が広がります。人々は歓喜し、光月の侍達は涙を流しました。モモの助と赤鞘たちは都の民衆の前に姿を現し、亡き父おでんの遺志を継いで新将軍に光月モモの助が就任することを宣言します。8歳(肉体年齢28歳)の若き君主の下、ワノ国は武力支配から解放され、新たな時代の幕開けを迎えました。「ワノ国の開国」は当面先延ばしとされましたが、モモの助は国を守る覚悟を固め、民もそれを支えます。こうしてカイドウによる黒炭家の長き圧政は終わりを告げ、光月家が治める平和な国を取り戻したのです。

激闘の翌日、世界中にこの報せが伝わりました。百獣のカイドウとビッグ・マム、二人の四皇が同時に倒れたという一大ニュースに世界は震撼します。勝利の立役者となったルフィ・ロー・キッドの3船長には懸賞金それぞれ30億ベリーもの巨額な賞金首がかけられました。中でもルフィは「五皇」から正式に**“四皇”の一人**へと名を連ねる存在となり、新たな皇帝“麦わらのルフィ”として世界にその名を轟かせます。打倒四皇という長年の悲願を成し遂げたルフィ達麦わらの一味は、ワノ国での宴を楽しんだ後、侍達と別れを告げ次の航海へ旅立っていきました。ヤマトは故郷ワノ国に残る道を選び、モモの助や侍達とともに国の再建に協力していくことになります。かくしてルフィ達の壮大なワノ国冒険譚は幕を閉じ、第3幕(ワノ国編)は完結しました。

ワノ国編を終えて:全体の感想とまとめ

約150話に及び『ONE PIECE』史上最長クラスとなったワノ国編は、和の国独自の世界観と壮大な戦いで読者を惹きつけました。物語序盤では侍達の過去や過酷な圧政の実態が描かれ、中盤では光月おでんの人生やロジャー海賊団の秘話などシリーズの核心に迫る謎が次々と明かされました。終盤の鬼ヶ島決戦では、主人公ルフィを含む最悪の世代が古き王者である四皇を打ち倒し、“新時代”の到来を印象付ける熱い展開となりました。とりわけルフィのギア5覚醒は読者に大きな驚きを与え、自由の象徴とも言えるコミカルかつ圧倒的な戦いぶりは連載当時大きな話題を呼びました。カイドウとビッグ・マムという強大な存在の敗北、そしてルフィの四皇昇格という結末は物語全体にとっても大きな転換点であり、世界の勢力図が塗り替えられることになります。

ワノ国編の魅力は、アクションだけでなく侍達の志と絆にもありました。20年の時を超えて実った光月家の悲願、モモの助の成長、康イエやおでんの自己犠牲など、随所に胸を打つドラマが散りばめられています。和の国特有の文化や用語(おでん二刀流、歌舞伎の見得など)も作品に新鮮さを与え、ファンにとってはワクワクする要素でした。また、章立て(幕)の構成や随所に挟まれる歌舞伎風の演出(決め台詞や雷ぞろいの場面転換など)も独特で、連載中は「第〇幕が開いた/閉じた」といった演出に毎回緊張感が高まりました。

物語のラストでは、長らく鎖国していたワノ国がようやく夜明けを迎えます。モモの助を筆頭に民衆が未来への希望を繋ぎ、ルフィ達は次なる冒険へ旅立っていきました。ワノ国編は、古き時代から新時代への橋渡しとなる重大なエピソードであり、読後には大きな達成感とともに寂しさすら感じられるほどの密度でした。ワノ国での激闘と感動の物語は、これまでの伏線を数多く回収し、同時に世界会議(レヴェリー)や「Dの一族」に関わる新たな謎も提示しました。まさにクライマックスに相応しい盛り上がりを見せつつ、次章以降の物語へ期待を繋ぐ素晴らしい章だったと言えるでしょう。ワノ国編を通じてますますスケールアップした『ONE PIECE』――この先の展開でも世界の“夜明け”に向け、ますます目が離せません。

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