目次
ワノ国編のあらすじ
- 新四皇ビッグ・マムから逃れたルフィ達はワノ国に到着。大海賊カイドウが将軍オロチと結託し、国民を飢えに苦しめる状況を目撃する 。ルフィは九里郡で出会った少女お玉を救い、彼女の「毎日腹いっぱい食える国にしてやる」という言葉を胸に誓う 。
- 麦わらの一味は隠れていたトラファルガー・ローと合流し、錦えもん達と再会する。20年前に処刑された伝説の大名・光月おでんの生涯と、妻トキの能力で現在へ飛ばされたおでん城跡の侍達の物語を聞く 。おでんはかつてワノ国の屋根をぶち抜いて雷を呼んだほど強く、彼の遺志を継ぐため「鬼ヶ島」(島上の城)への討ち入りが決まる 。
- 討ち入り当日、五千人以上の連合軍が鬼ヶ島に上陸する。一方、鬼ヶ島ではカイドウがビッグ・マムと同盟を結成し、桃太郎(モモの助)を処刑、新将軍にヤマトを据えて「新鬼ヶ島」を築く計画を進めていた 。これに対し憧れの大名おでんの志を継ぐヤマトはルフィ達側につき、さらに錦えもん達が奇襲に成功。こうして両軍の全面戦争が幕を開けた 。
- 決戦では赤鞘の侍達がおでん流の技で奮戦し、ゾロらが百獣海賊団の幹部と交戦。ロー&キッドが一時的同盟を結びビッグ・マムと死闘を繰り広げ、ルフィは単身カイドウに挑む 。ルフィは新たな力「ギア5」を覚醒させてカイドウを打倒し、ビッグ・マムも深手を負って地下のマグマに沈む 。
- 戦いの終結後、ワノ国はついに平穏を取り戻す。モモの助は光月おでんの志を胸に新将軍に就任し、ルフィの賞金は30億ベリーに上がって正式に皇帝(海賊王の後継)となる 。カイドウ&ビッグ・マムという二大勢力の敗北、そして新たな「皇帝」誕生を受け、世界が大きく揺らぎながら麦わらの一味は侍達に別れを告げ次の島へと出航していった 。
カイドウ&ビッグ・マムの結末と影響
ワノ国決戦でカイドウはルフィの覚醒したギア5技に敗北し、城の屋上から海底のマグマ溜まりへと落下した 。同じくビッグ・マムもローとキッドの連携攻撃を受けて大穴に沈んでいった 。マグマへ落下する際、ビッグ・マムは「これで終わると思うなよ」と不敵な言葉を残しており、生存の可能性を示唆している 。いずれも海賊王への道を阻む四皇としての権威と勢力が崩壊した瞬間と言える。
この勝利により、これまで支配的だった四皇体制は瓦解した。ルフィ(ニカ)がカイドウを打倒し、ロー&キッドがビッグ・マムを倒したことで「四皇の座」は空席となり、クロスギルドのバギーと共にルフィが新たな四皇の一角に名を連ねた 。ビッグ・マム海賊団も事実上崩壊し、現在の海賊界ではシャンクス、黒ひげ、ルフィ、バギーが四皇の称号を持つ 。このように新たな時代の幕開けを告げる戦いだったことが伺える 。
世界への影響も甚大である。敗北した二人が四皇から外れたことで各国や海軍は動揺し、ルフィの名は大々的に報じられている(ワノ国開放はまだ公にされていないが、新聞の一面には“ジョイボーイ”という異名のルフィの写真が躍っていた)。戦いから数日後、ワノ国には新たに海軍大将緑牛が襲来し、世界政府が介入してくる展開が示唆されている 。カイドウとビッグ・マムを倒したことで世界の海賊図が一変し、残された勢力の再編や黒ひげ海賊団の動きなど、今後の物語に大きな波紋を投げかける結果となった 。
ワノ国に残された伏線と考察
- ジョイボーイの存在
ワノ国編で明かされたのは、「ジョイボーイ」という人物(概念)の存在である。約800年前の空白の100年に人魚姫と交わした約束を果たせず「謝罪文」を遺した歴史の鍵を握る人物だが、現在の時間軸では「ジョイボーイ=ある条件を満たした者」という概念になっている可能性が高い 。おでんが「ジョイボーイが現れる日までに国を開け」と語ったように、ワノ国を開く者をジョイボーイと呼ぶ風潮が示される 。実際、ルフィがカイドウの眼前で倒れた直後、カイドウは「お前も…“ジョイボーイ”には…なれなかったか…!!」と呟いており、ルフィが結果的に“現代のジョイボーイ”になったと示唆されている 。 - ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)
ワノ国では最終的にルフィ達が「ひとつなぎの大秘宝」を手に入れるところまでは描かれなかった。ただしカイドウは「この手でワンピースを獲りに行く」と同盟中に語っており、四皇同士の抗争の裏で宝を巡る戦いが続いていたことが分かる 。結末後はルフィが新四皇として世界中の注目を集めており、ロジャー海賊団が果たせなかった「世界をひっくり返す」手段としてワンピースの正体にも言及されるだろう。公式にはまだ不明だが、「ジョイボーイが最後の島に隠した宝」という記述から、ルフィ=ジョイボーイがそれを解き明かす日は近いと考えられる 。 - 古代兵器と関連
古代兵器プルトン・ポセイドン・ウラヌスのうち、ワノ国編で直接的に判明したのはプルトンとポセイドンである。考察によれば、プルトンはワノ国の地下深くに眠っており、沈んだ国土の下(モグラ港やマグマ溜まり付近)にその巨大艦船が封印されているという 。ポセイドンは既出の通り魚人島の王女しらほしで、海王類を従える能力者である 。ジョイボーイはポセイドンと共に古代兵器を使い魚人島を地上へ移住させようとしたとも考えられている 。一方、ウラヌスについては今なお全く素性が明らかになっておらず、大気や天候にまつわる能力との説がある 。今後の展開では、ワノ国で明らかになったプルトンの所在とワンピースの正体がどのように絡むかが重要なポイントになる。 - 象主(ズニーシャ)
800年前にジョイボーイと共に戦った古代生物ゾウ「ズニーシャ」は、ワノ国編で重大な役割を果たした。ワノ国決戦の最中、モモの助に「ジョイボーイが帰ってきた」という声を直接聞かせたのち、瀕死のルフィが笑みを浮かべた 。これはズニーシャが「君がジョイボーイだ」と認めるような演出と受け取られており、同時にルフィが先代ジョイボーイの意志を継いだ印でもある。また最終局面で呼びかけに応じたズニーシャはワノ国近海に姿を現し、世界政府の艦隊を阻む大象の影として描かれた 。ズニーシャはかつて罪を犯して「歩き続ける」罰を受けていたが、今度こそ「戦うために」解放されたと自ら語っている。こうしてワノ国の壁は打ち破られ、ズニーシャも解放されてラフテルへの門出を助ける準備が整ったと言えるだろう 。
キャラクターの成長と役割
- 光月モモの助: 20歳になり成長した若き光月家の嫡男。鬼ヶ島決戦では捕らえられながらも父おでんの象徴的技「天羽々斬(アマノハバキリ)」を受け継ぎ、意義ある最後を遂げた。その後、父の志を継ぐ決意を新たにし、「桃源郷」と呼ばれるワノ国の理想郷建設へ向けて新将軍に就任する 。責任感に目覚め、かつての弱さを克服した成長が見られる。
- ヤマト: 鬼ヶ島で父カイドウに抵抗し続けた大きな娘(カイドウの実子)。幼少より光月おでんに憧れ「自分はおでん様だ」と語ってきたが、決戦後に本当の自分として世界へ出る決意を固めた。海上戦では白熱の親子対決を繰り広げ、敗れながらも大功を立てた。ワノ国開放後の1051話ではルフィに、「これから君たちの船に乗せてもらう…ヤマトだ、よろしくね!」と述べ、麦わらの一味への加入を宣言した 。これにより、ヤマトは外の世界を目指す意志を明確にし、自由を得て新たな冒険へ旅立つ役割を担うことになる。
- 赤鞘九人男(錦えもんら侍たち): 光月おでんの家臣であり、ワノ国解放のために20年もの間闘い続けた侍達。最終決戦では全員がカイドウ率いる百獣海賊団と激突し、多くが戦死して悲願を果たした。錦えもんらは亡き主君おでんゆずりの技で善戦するも、最後はカイドウに倒れ、その想いをルフィが受け継いだ 。彼らの忠誠と犠牲はワノ国民の希望となり、倒れた侍達の遺志は新将軍モモの助や生き残った者達によって次代へつながれる。また、彼らの活躍はルフィ達の絆を強め、戦後のワノ国再建へ大きく貢献する力となった。
ラフテルと世界政府への示唆
ワノ国編終盤には、物語の最終目的地ラフテルや世界政府にまつわる重要な伏線がいくつも提示された。ひとつは「ジョイボーイ=ルフィ」という構図である。ラフテルにワンピースを隠した張本人であるジョイボーイの名が繰り返し出てきたことで、ルフィがその意思を継ぐべき存在であることが強調された 。カイドウとの決戦で出た「ジョイボーイにはなれなかったか」という台詞は、最終的にルフィがジョイボーイに相応しい未来を手にした証とも解釈できる 。
一方、世界政府サイドでは、ワノ国の開国を阻止する動きが描かれている。オロチらのクーデター後、五老星やCP0はワノ国を政府直轄領と見なし、その盾となるべく介入してきた様子がうかがえる 。実際、ワノ国決戦の直後には海軍大将緑牛が出動し(CP0の通信妨害も報じられ)、ワノ国へ迫ってきた 。またおでんは重要なポーネグリフを「外敵」に破棄するなど、元々外部勢力の侵入を警戒していた痕跡がある 。鬼ヶ島での象主登場(1043話)でも、世界政府艦隊に向けてズニーシャが立ちはだかった 。これらは、ジョイボーイ(ルフィ)の復活とワノ国開国を最も警戒する「第四勢力」(新興国家か第三勢力)の存在を示唆するものであり、世界政府はルフィ達の動向を重大視していることが明らかとなった。
総じて、ワノ国編は物語最大の謎である「ワンピース」やラフテルへの伏線が濃厚に織り込まれた舞台だった。ジョイボーイの秘密、古代兵器の所在、象主の役割など、未解明の要素は残るが、ルフィ達はこの先、光月家の意志と共に「全てをひっくり返す」旅を続けることが確定的である 。
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