「ONE PIECE」第1163章は、長く謎に包まれていた「ゴッドバレー事件」を新たな角度で描き、シリーズ内でも非常に重厚な展開を見せた章でした。以下、私なりの感想と考察を整理します(※ネタバレ有り、未読の方はご注意ください)。
目次
1.あらすじハイライト
まず、章の主な内容をざっと振り返ります。
- タイトルは「Promise(約束)」。
- この章では、世界政府が長年隠してきた「ゴッドヴァレー事件」の真実が、一部明らかになります。
- 主な動きとしては、
- イム(サターンの体を使って?)が、海賊・海軍関係なく攻撃を仕掛ける。
- ロックス・D・ジーベックが「お前が来たな…王ラットめ」とイムに言われ、「俺はその男(=デイヴィ・ジョーンズ)じゃない」と返すやりとり。
- 海賊/海軍のトップ格(ゴール・D・ロジャー、モンキー・D・ガープ、白ひげ(エドワード・ニューゲート)、百獣のカイドウ、シャーロット・リンリン(ビッグ・マム) etc.)が一堂に会して、イムに立ち向かう構図。
- そして、イムが持つ特殊能力「ドミ・リバーシ(Domi Reversi)」によってロックス自身が異変を起こす――恐怖、裏返し、滅ぼされるべき存在へ。
- この章を通じて、「世界政府が隠蔽してきた歴史」、および「ロックスという人物/勢力」の再評価が描かれているように見えます。
2.印象に残ったポイント
個人的に刺さった要素を挙げていきます。
「約束」という言葉の重み
章のタイトル「Promise(約束)」が示す通り、ロックスとイムのやり取り──「約束は守られるべきだろ?」というセリフが象徴的でした。
これには、義理・契約・信念といったテーマが込められていて、ロックスというキャラクターがただの悪役ではなく、ある理念や守るべきものをもった存在であった可能性を強く示しています。
また、世界政府側/歴史側の「約束(封印された歴史)を守る/隠す」という力学も暗に語られていて、深みがあります。
世界政府の隠蔽・歴史改変の影
ロックスがただの暴君ではなかったという描写、そしてゴッドヴァレーでの「真実」が改変されていたであろうという流れ。Techwiserの記事では「世界政府が長年隠してきた歴史を暴いた」とも語られています。
この章は単なるバトル展開ではなく、歴史/真実/権力構造という大きなテーマを動かしていて、シリーズの根幹に迫るものを感じさせます。
ロックスの再評価
ロックスについて、これまで「最悪の海賊」「世界を震撼させた暴君」的な記述ばかりでしたが、この章では「家族を守ろうとした男」「世界政府にとって都合の悪い存在」という側面が浮上しています。Techwiserの記事では「彼は家族以上のものを守るべき存在だった」とも。
この再評価によって、ロックスという存在がただボスキャラを越えて、“歴史の鍵”を握るキャラとして位置付けられてきたと思います。
圧巻の“オールスター”戦闘構図
個人的には、ロックス、ロジャー、ガープ、白ひげ、カイドウ、ビッグ・マムが同時に“イム”に立ち向かうというシーンが、ファンの夢と現実が化合したような興奮を呼びました。雑誌記事でも「史上最大のチームアップ」という言い方がされていました。
この破格の演出が、「ゴッドヴァレー」そのものの重大さ、時代の転換点を強く表しています。
イムの能力“ドミ・リバーシ”のインパクト
イムがロックスに使った能力、ドミ・リバーシ。相手を“裏返す”/“反転させる”という概念が恐ろしく、歴史の改変、記憶の変化、肉体の変化を一手で示唆しています。Techwiserでも「イムの役割=歴史を歪める者」と位置づけられています。
このような“能力としてのテーマ”が、戦闘以上に物語の“核心”を示すという使い方が、とても巧いと感じました。
3.考察:これからどう展開するか
この章を受けて、いくつかの仮説・考察を整理しておきます。
(A)ロックス=“正義/反逆”の象徴?
ロックスが守ろうとした「家族」や「約束」が、世界政府の歴史から消されていたという構図を考えると、彼は“既存の秩序”に抵抗した存在だった可能性があります。
このため、ロックス ≠ 単純な悪役、という再定義が進んでいくと予想します。
さらに、「約束を守る」というテーマが、今後の主人公勢(モンキー・D・ルフィ/“Dの意志”)ともリンクしてくるでしょう。
(B)ガープ&ロジャーの選択の謎
この章では、ガープとロジャーがイムに立ち向かう姿も描かれています。
今まで「ガープ=海軍の英雄」「ロジャー=海賊王」という対立図が定着していましたが、ここで二人が協力していることに意味があります。
考察としては、
- ガープはこの事件で世界政府の真実に触れた可能性がある。
- ロジャーは、この事件を契機に「世界を変える」航海に出た。
- 二人の関係性、そして「なぜガープが海軍に残ったか/なぜロジャーが海賊に至ったか」の背景が、この章で一層深掘りされそうです。
(C)世界政府・イムの真の目的
「歴史を消す」「約束を裏切る」「反転させる」というイムのキーワードから察すると、
- 歴史の改竄/封印
- “Dの意志”を潰す/操る
- 新しい世界秩序の構築
…といった目的が透けて見えます。
そしてロックスとのやり取りから、「この世界は 당신のものではない(=あなたのものではありません)」というロックスの反撃のようなセリフが出ており、単純な「世界政府側が悪」構図には収まりきらない深いドラマを感じます。
(D)“約束”の内容とは何か?
「Promise」が示す“約束”とは何か――
・ロックスが守ろうとした約束(家族、自由、反逆)
・“D”の一族が背負う意志/約束
・世界政府と“D”の一族が交わした約束(もしくは裏切った約束)
これらが複雑に絡み合っていくと考えられます。
特に「ロックスがデイビー・ジョーンズと呼ばれた」件も、「別の存在」「役割」「契約」を暗に示していて、“約束”の正体を探る鍵になりそうです。
4.今後の期待ポイント
この章を踏まえて、次に注目すべき点を整理します。
- ロックスがその後どうなったのか――改造/転化されたのか、あるいは救われる可能性があるのか。
- ガープ・ロジャーのその後の動きと、それぞれが背負った“過去の事件”の影響。
- イム/世界政府がなぜゴッドヴァレーを封印し、どんな世界秩序を築こうとしているのか。
- “D”の意志/ジョイボーイ/空白の100年との関連。ロックスの“約束”がこれらにどのように結びつくか。
- 現在のルフィ達(=“D”の意志を継ぐ者達)が、この事件をどう知り、どう立ち向かうのか。
5.私の総評
この第1163章は、長らく語られてきた「ゴッドヴァレー事件」の真実に光を当て、シリーズ全体のスケールをさらに拡大する内容でした。
単なる戦闘ニュースではなく、歴史・権力・意志・約束というテーマが深く織り込まれており、読み応え・考察の余地ともに満載です。
個人的には、ロックスが「守るべきもののために戦った男」だったという描写に胸を打たれました。これにより「海賊=悪」「政府=正義」という単純図式が壊れていく過程を、オダ先生が巧みに描いていると感じます。
もちろん、謎も多く残っていますが、それこそが「次どうなるの?」という期待を高める役割を果たしています。次章以降の展開/伏線回収がとても楽しみです。


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